「71万円が1日で1,000万円に」。SNSなどで、オプション取引で大きな利益を上げたという景気の良い話を目にしたことはありませんか。少ない資金で大きなリターンが狙える可能性がある一方で、「プット」「コール」「SQ」といった専門用語の壁に、自分には関係ない世界だと感じている個人投資家の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、元ゴールドマン・サックス証券で現在はマネトレ大学学長の尾崎邦明が、複雑に見えるオプション取引の仕組みを「宝くじ」に例えてゼロから解説します。この記事を読めば、オプション取引の基本から、個人投資家がリスクを抑えながら実践で勝つための具体的な戦略まで理解できます。
この記事でわかること
- オプション取引の「買う権利(コール)」と「売る権利(プット)」という基本的な仕組みがわかる
- 損失をチケット代(プレミアム)のみに限定しながら、株価の大きな変動で利益を狙う方法がわかる
- 個人投資家がオプション取引を始めるべき市場(米国株)と、具体的な第一歩がわかる
マネトレ大学学長の尾崎が運営するYouTubeチャンネル「おーちゃん【元外銀マン】」で解説した内容を、動画公開後の市場データや海外機関投資家のレポートまで織り込んでお届けします。
目次
結論:オプション取引は、損失限定で大きな利益を狙える「宝くじ」モデル
| 取引の概要 | 個人投資家への意味 | |
|---|---|---|
| コール・オプションの買い | 特定の価格で「買う権利」を買う。株価が権利行使価格を上回れば利益。 | 株価の大幅な上昇を予想する時に有効。損失は最初に支払った権利金(プレミアム)に限定される。 |
| プット・オプションの買い | 特定の価格で「売る権利」を買う。株価が権利行使価格を下回れば利益。 | 株価の暴落を予想する時に有効。保有資産のリスクヘッジ(保険)としても機能する。 |
| ストラドル(両建て) | 同じ権利行使価格・同じ満期日のコールとプットを両方買う。 | 決算発表など、株価が上下どちらかに「大きく動く」と予想する時に有効な戦略。 |
| 米国株オプション市場 | 個人投資家の参加が活発で、取引量(流動性)が非常に大きい。 | 日本株市場と比べて「買いたい時に買え、売りたい時に売れる」環境が整っており、個人投資家が参入しやすい。 |
オプション取引は、損失を限定しつつレバレッジを効かせて大きな利益を狙える強力な金融商品です。しかし、仕組みが複雑でリスクも伴うため、まずは流動性の高い米国株を対象に少額・デモトレードから始めることが、個人投資家にとって最も賢明な第一歩と言えるでしょう。
第1章:オプション取引は「宝くじ」?ゼロからわかる仕組み
この章のポイント
- オプション取引とは「将来、特定の価格で株を売買する権利」を取引すること
- 宝くじに例えると、チケット代が「プレミアム」、当たりが「権利行使による利益」、ハズレが「権利放棄」
- 最大のメリットは、損失が最初に支払ったチケット代(プレミアム)だけに限定されること(買いの場合)
オプションは「権利」の売買
オプション取引と聞くと難しく感じるかもしれませんが、本質はシンプルです。これは「将来、特定の株式を、あらかじめ決めた価格で売買できる権利」そのものを売買する取引です。
現物の株式投資が「株そのもの」を売買するのに対し、オプション取引は「株を売買する権利のチケット」を取引する、と考えると分かりやすいでしょう。
損失限定、利益は青天井の「宝くじモデル」
オプション取引の最大の魅力を、動画では「宝くじ」に例えて解説しました。このモデルで仕組みを理解しましょう。
- チケット代:オプションの権利を買うために支払うお金。「プレミアム」と呼ばれます。
- 当たり:予想通りに株価が動いた場合。権利を行使して利益を得ます。
- ハズレ:予想が外れた場合。権利を放棄します。損失は最初に支払ったチケット代(プレミアム)だけです。
例えば「1ヶ月後にA社の株を100円で買う権利」を、チケット代30円で買ったとします。1ヶ月後にA社の株価が500円に値上がりした場合、あなたは100円でA社株を買い、すぐに市場で500円で売ることができます。差額の400円からチケット代30円を引いた370円が利益です。
逆に株価が50円に値下がりした場合、わざわざ100円で買う意味はありません。この場合、権利を放棄すればよく、損失は最初に支払ったチケット代の30円だけで済みます。
このように、損失は限定的な一方で、利益は青天井になる可能性がある「非対称な損益構造」こそ、オプション取引が多くの投資家を惹きつける理由です。これは、損失額が最初から確定している、非常に守りに優れた投資手法とも言えます。
持ち帰りメモ①:オプションの「買い」は、損失額が最初から決まっている投資手法。宝くじのように、少額の掛け金で大きなリターンを狙える。
第2章:相場の上下と動かない時、全てが収益機会になる4つの基本戦略
この章のポイント
- 「コール・オプション」は株価が上がると利益が出る「買う権利」
- 「プット・オプション」は株価が下がると利益が出る「売る権利」
- それぞれの権利には「買い手」と「売り手」がおり、損益は真逆の関係になる
- 「売り」戦略は、相場が動かない時でもプレミアム分の利益(インカム)を狙える
損益図で理解する4つの基本形
オプション取引には、基本となる4つの戦略があります。これらを損益図で理解することが、オプションを使いこなすための第一歩です。
先ほどの宝くじの例は「コール・オプションの買い」にあたります。これは株価の上昇を予想する戦略です。これとは逆に、株価の下落を予想する際には「プット・オプションの買い」を使います。これは「売る権利」を買う取引です。
そして、これらの権利には「買い手」だけでなく、権利を販売する「売り手」も存在します。買い手と売り手の損益は、常に表裏一体の関係になります。

図1が示すように、オプション取引には大きく分けて4つの基本形が存在します。初心者がまず覚えるべきは、損失が限定されている①「コール買い」と②「プット買い」です。
「売り」戦略は上級者向け
一方、③「コール売り」と④「プット売り」は、利益が最初に受け取るプレミアムに限定されるのに対し、損失が無限大になる可能性がある、非常にリスクの高い戦略です。このため、一般的には上級者向けとされています。
ではなぜプロは「売り」戦略を使うのでしょうか。相場の方向性は「上昇」「下落」「横ばい」の3つです。「買い」戦略は相場が予想通りに動いた時にしか利益が出ませんが、「売り」戦略は「相場が大きく動かない」と予想する時に有効です。例えばコール売りは、株価が「上がらない(横ばいか下落する)」だけでプレミアム分の利益が確定します。
このように、上がる・下がる・動かないという相場のあらゆる局面を収益機会に変えられるのが、オプション取引の奥深さです。
持ち帰りメモ②:相場が「上がる・下がる・動かない」の3パターン全てで利益を狙えるのがオプションの魅力。初心者はまず「上がる(コール買い)」「下がる(プット買い)」から始めよう。
第3章:なぜ個人投資家は「米国株オプション」一択なのか?
この章のポイント
- 日本株のオプション市場は取引参加者が少なく「流動性」が低いため、適正価格での売買が難しい
- 米国では個人投資家のオプション取引が活発で、2025年には過去最高の取引量を記録した
- かつて機関投資家を揺るがした「ゲームストップ事件」も、個人投資家によるコールオプションの大量購入が引き金となった
- NVIDIAやTeslaなど、値動きの激しい人気銘柄のオプション取引が活発
流動性が命!日本市場の課題
オプション取引で利益を出すためには、「買いたい時に買え、売りたい時に売れる」という市場の「流動性」が生命線です。残念ながら、日本株のオプション市場は日経225平均などの指数が中心で、個別株のオプションは参加者が少なく閑散としています。
流動性が低いと、不利な価格でしか取引できなかったり、そもそも取引が成立しなかったりするリスクがあります。このため、個人投資家がオプション取引を始めるなら、圧倒的な流動性を誇る米国株市場が主戦場となります。
個人が機関を打ち負かした「ゲームストップ事件」の真相
米国では、2020年以降、個人投資家によるオプション取引が爆発的に増加しました。Cboeのデータによると、2026年9月時点で米国オプション市場の取引高の約55%を個人投資家が占めており、もはや市場の主役の一角を担っています。

この流れを象徴するのが、2021年に起きた「ゲームストップ事件」です。これは、SNSで結託した個人投資家たちがゲームストップ社のコール・オプションを大量に買い、空売りを仕掛けていたヘッジファンドを巨額の損失に追い込んだ事件で、映画『ダム・マネー』にもなりました。
米国市場では、NVIDIA、Tesla、Micronといった値動きが大きく市場の注目度が高い銘柄のオプション取引が特に活発です。Citadel Securitiesの2026年上半期レポートによれば、個人投資家の取引上位は常にこれらのハイテク・グロース株が占めています。豊富な選択肢と流動性があるからこそ、個人投資家でもフェアな価格で戦えるのです。
持ち帰りメモ③:オプション取引の主戦場は、流動性の高い米国市場。日本株市場は参加者が少なく、個人投資家には不向き。
第4章:実践編|決算発表で「大きく動く」に賭ける必勝法
この章のポイント
- コールとプットを同時に買う「ストラドル」戦略で、株価が上下どちらに動いても利益を狙える
- 決算発表のように、株価の方向性は不明だが大きく動くことが予想されるイベントで有効
- 動画内で紹介されたマイクロンの決算では、コールオプション価格が1日で約3.4倍に高騰後、急落した
- オプション価格(プレミアム)は株価本体よりも遥かに激しく変動するため、短期売買で利益を狙うことも可能
騰落不明でも勝てる「ストラドル買い」
オプションの基本戦略を組み合わせることで、さらに高度な投資が可能になります。その代表例が「ストラドル買い」です。これは、同じ権利行使価格・同じ満期日のコール・オプションとプット・オプションを同時に購入する戦略です。
この戦略の面白いところは、株価が「上がるか下がるか」を予想する必要がない点です。株価が上下どちらかに「大きく動けば」利益が出る仕組みになっており、「変動の大きさ(ボラティリティ)」そのものに投資する手法と言えます。

決算発表前は、良い決算が出ても材料出尽くしで売られたり、逆に悪い決算でも悪材料織り込み済みで上昇したりと、株価の方向性を読むのが非常に困難です。しかし、株価が「大きく動く」可能性は高い。このような場面でこそ、ストラドル買いは真価を発揮します。
1日で3.4倍?マイクロンの決算で起きたこと
オプションの「チケット代(プレミアム)」は、原資産である株価の数%の動きで、価格が何倍にもなることがあります。このレバレッジ効果の威力を、動画で解説したマイクロンの事例で見てみましょう。

この事例では、決算発表をまたいでコールオプションの価格が1日で46ドルから156ドルへと約3.4倍に急騰しました。しかし、その後すぐに利益確定売りに押され、同日のうちに58ドルまで急落しています。これは、オプション取引が大きな利益をもたらす可能性があると同時に、タイミングを誤ると大きな損失につながるリスクもはらんでいることを示しています。
動画公開後に起きたこと
動画公開後、市場では2026年11月の米国中間選挙を控えてボラティリティ(市場の変動性)への関心が高まっています。「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数は、市場の不安心理を反映する指標で、オプション価格に直接影響を与えます。2026年10月30日時点でVIX指数は19.42ポイントと、警戒ラインとされる20ポイントに近づいています。

Morgan StanleyやFidelityなどのレポートでは、選挙結果の不確実性が短期的な市場の変動を高める可能性が指摘されています(2026年10月)。このような市場の変動性が高まる局面は、まさにオプション取引の収益機会となり得ると考えられます。
持ち帰りメモ④:オプションなら「上がる・下がる」だけでなく「動く・動かない」という値動きそのものに投資できる。決算発表や重要イベントは格好の狙い目。
第5章:今日から始める米国株オプション「3つのステップ」
この章のポイント
- ウィブル証券やサクソバンク証券など、米国株オプションに対応した証券会社を選ぶ
- まずは「デモトレード」で金銭的リスクなく、注文方法や画面操作に慣れる
- 次に、失っても生活に影響のない「10万円程度の少額」で実際の取引を体験する
- 初心者は損失が無限大になりうる「オプションの売り」は絶対に避け、「買い」戦略に徹する
証券口座の選び方
米国株オプションを始めるには、まず対応している証券会社で口座を開設する必要があります。動画内では、学長の尾崎が実際に使用している証券会社としてウィブル証券やサクソバンク証券が紹介されました。
これらの証券会社は、多くのプロ投資家が利用するチャートツール「TradingView」と連携できるメリットがあります。これにより、高度な分析をしながらシームレスに取引を行うことが可能です。ただし、特定の証券会社を推奨するものではなく、ご自身で手数料やサービス内容を比較検討することが重要です。
デモトレードから始める安全な一歩
オプション取引はレバレッジが効いている分、リスクも伴います。いきなり大金を投じるのではなく、以下の3つのステップを踏んで安全に始めることを強く推奨します。
オプション取引はレバレッジが効いている分、リスクも伴います。いきなり大金を投じるのではなく、以下の3つのステップを踏んで安全に始めることを強く推奨します。
- ステップ1:デモトレードで操作に慣れる
まずは自己資金をリスクに晒すことなく、注文方法や画面操作、損益の発生メカニズムを納得いくまで試しましょう。 - ステップ2:10万円程度の少額で実戦を体験する
次に、損失が出ても生活に影響のない範囲の資金で実際の取引を体験します。オプションの値動きの激しさを肌で感じることが重要です。 - ステップ3:「買い」戦略に徹する
初心者のうちは、損失が投資額に限定される「コール買い」「プット買い」に戦略を絞りましょう。損失が無限大になりうる「売り」は絶対に避けてください。
学長の尾崎も、かつて10万円の投資が1日で20万円になった経験があるように、少額でも十分にオプション取引のダイナミズムを体感できます。まずはこの3ステップで、リスクをコントロールしながら経験値を積んでいきましょう。
持ち帰りメモ⑤:オプション取引は、①デモトレード、②少額投資、③「買い」戦略の3ステップで安全に始めるのが鉄則。
まとめ:オプション取引は個人投資家の強力な武器になる
この記事では、複雑に見えるオプション取引の仕組みから、個人投資家が実践で勝つための具体的な戦略まで解説してきました。最後に、重要なポイントを一覧表で振り返りましょう。
| 戦略 | 概要 | 意味合い |
|---|---|---|
| コール・オプションの買い | 特定の価格で「買う権利」を買う。株価が権利行使価格を上回れば利益。 | 株価の大幅な上昇を予想する時に有効。損失は最初に支払った権利金(プレミアム)に限定される。 |
| プット・オプションの買い | 特定の価格で「売る権利」を買う。株価が権利行使価格を下回れば利益。 | 株価の暴落を予想する時に有効。保有資産のリスクヘッジ(保険)としても機能する。 |
| ストラドル(両建て) | 同じ権利行使価格・同じ満期日のコールとプットを両方買う。 | 決算発表など、株価が上下どちらかに「大きく動く」と予想する時に有効な戦略。 |
| 米国株オプション市場 | 個人投資家の参加が活発で、取引量(流動性)が非常に大きい。 | 日本株市場と比べて「買いたい時に買え、売りたい時に売れる」環境が整っており、個人投資家が参入しやすい。 |
オプション取引は、損失を限定しながら大きなリターンを狙える、非対称な損益構造を持つ金融商品です。その特性を正しく理解し、リスク管理を徹底すれば、個人投資家にとって非常に強力な武器となり得ます。
私たち個人投資家はどうするべきか
ここまでの内容を踏まえ、明日から具体的に何をすべきか、5つのアクションプランにまとめました。ぜひ、できることから始めてみてください。
- まずはデモトレードで試す。 ウィブル証券などが提供するデモ取引機能を活用し、自己資金をリスクに晒すことなく、注文方法や損益の発生メカニズムを納得いくまで試しましょう。
- 10万円チャレンジで実戦感覚を養う。 損失が出ても許容できる範囲の少額資金(例えば10万円)で、実際の取引を体験します。学長の尾崎も10万円の投資が1日で20万円になった経験があり、少額でも十分にオプション取引のダイナミズムを体感できます。
- VIX指数を毎日チェックする。 「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数は、市場のボラティリティ期待を反映し、オプション価格に直接影響します。 日々の株価チェックと合わせてVIXの動きも見る癖をつけましょう。
- 決算発表を狙う。 NVIDIA、Tesla、Micronなど、普段から値動きが大きく、市場の注目度が高い銘柄の決算発表は、株価が大きく動く格好のイベントです。こうしたタイミングで「ストラドル買い」を試すのは、良い練習になります。(※これらは業種の代表例であり、特定の銘柄の推奨ではありません)
- 「売り」は厳禁、「買い」に徹する。 初心者のうちは、損失が投資額に限定される「コール買い」「プット買い」に戦略を絞りましょう。利益が限定的で損失が無限大になりうる「売り」戦略は、仕組みを完全に理解してから検討すべき上級者向けの手法です。
本記事は、金融商品の仕組みについて解説することを目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。また、記事内で紹介した銘柄は、あくまで業種の代表例であり、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
一つのニュースから連想ゲームを始めましょう。例えば「米国のインフレ率(CPI)が市場予想を上回った」というニュースが出たとします。すると投資家は「FRBが利下げに慎重になるかもしれない」と連想し、金利高が続くことへの警戒感から株価の先行き不透明感が増します。
この不安心理は市場の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数を押し上げ、オプションの権利料(プレミアム)を全体的に上昇させます。このような局面では、株価が下に大きく動くことを見越して「プット・オプションの買い」で保険をかけたり、逆に市場が落ち着きを取り戻しボラティリティが低下することに賭けて「オプションの売り」でプレミアムを稼ぐ戦略を機関投資家は検討し始めます。
私が学長を務めるマネトレ大学では、金融知識ゼロだった大学生が米国大手証券会社に入社し学んだ金融知識、ルーティンワークを集約した金融特化型の教育研修を行っています。無料の勉強会「元ゴールドマン・サックス証券 尾崎邦明式 資産10倍ロードマップ」はYouTubeの各動画の概要欄からお申し込みください。日々のマーケット解説や最新情報は、無料LINEでもお届けしています。まずは無料LINEにご登録ください。



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