「どの銘柄に投資すれば良いかわからない」これは多くの個人投資家が抱える共通の悩みです。世の中には無数の企業があり、どの情報が本当に価値があるのか見極めるのは至難の業でしょう。
そこでヒントになるのが、ウォーレン・バフェットのような「プロの投資家」が実際に何を買っているかを知ることです。この記事では、彼らの動向がわかる公式書類「13Fファイリング」の見方と活用法を、マネトレ大学学長の尾崎邦明が解説します。
この記事でわかること
- ウォーレン・バフェットなど著名投資家の最新ポートフォリオ(2026年Q2版)
- ヘッジファンド全体で今、人気が集まっているセクターと個別銘柄
- 個人投資家が13Fの情報を投資判断に活かすための具体的な方法と注意点
マネトレ大学学長の尾崎が運営するYouTubeチャンネル「おーちゃん【元外銀マン】」で解説した内容を、動画公開後の市場データや海外機関投資家の最新レポートまで織り込んでお届けします。
目次
結論:著名投資家は「AIの次」と「金利」を見ている
| 投資家 | 何が起きたか(2026年Q2) | 投資家への意味 |
|---|---|---|
| ウォーレン・バフェット | Alphabet (Google) の保有を83%と大幅に増加させ、ポートフォリオ3位の主力銘柄に。 | AIインフラの根幹を担う巨大テック企業への強い信頼を示唆。特定のAIアプリケーションではなく、プラットフォームそのものを評価している可能性。 |
| ビル・アックマン | Visa、Mastercardなど決済・金融データ大手6銘柄を新規購入。ポートフォリオを10銘柄から14銘柄へ拡大。 | 金利高止まりの環境でも安定した収益が見込める、強力なブランド力を持つ金融サービス企業へ資金をシフトか。 |
| マイケル・バーリ | 2025年9月末を最後に13F提出を停止。以降は有料ニュースレターで断片的なポジションを開示。 | NVIDIAや半導体ETF(SOXX)などへのショート(空売りやプットオプション)を継続。AI関連への懐疑的な見方を維持している模様。 |
| ヘッジファンド全体 | AI関連銘柄の中でも、NVIDIAのような勝ち組から、データインフラやアプリケーション層の銘柄へと物色が広がる傾向。 | AIブームの初期段階が終わり、より持続的な成長が見込める「次の勝ち組」を探す動きが活発化していることを示唆。 |
2026年第2四半期の13Fファイリングは、プロの投資家たちが市場の大きな変化に対応しようとする姿を浮き彫りにしました。バフェットはAIインフラの巨人へ、アックマンは高金利に強い金融サービスへと、それぞれの哲学に基づき巨額の資金を動かしています。13Fは、こうしたプロの「答え」を合法的に覗き見できる、個人投資家にとっての「宝の地図」なのです。
第1章:なぜ銘柄選びは難しいのか?プロの「答え」をカンニングする方法
この章のポイント
- 個人投資家が直面するのは、手元にある「情報」と分析する「経験」の壁
- 自分の生活圏だけで銘柄を探すと、投資機会を大きく狭めてしまう
- プロの投資判断を合法的に覗き見できる「13Fファイリング」という制度がある
「サイゼリヤ株」から一歩先へ
多くの個人投資家が銘柄選びで最初にぶつかるのは「情報の壁」です。普段の生活で見聞きする企業や、ニュースで話題の銘柄にどうしても目が行きがちになります。
例えば「最近よくサイゼリヤに行くから、株を買ってみよう」と考えるのは自然な発想です。しかし、世界には何万もの上場企業があり、その中から将来性のある一社を見つけ出すのは、プロにとっても簡単なことではありません。
個人投資家は、使える時間も情報も限られています。その中で、機関投資家のようなプロと同じ土俵で戦うのは困難です。では、どうすれば良いのでしょうか。
機関投資家の「宿題」をのぞき見する
そこで役立つのが、プロの投資家が何を買っているのかを直接見てしまう方法です。それを可能にするのが、今回解説する「13Fファイリング」という制度です。
これは、米国で一定規模以上の資産を運用する機関投資家が、四半期に一度、保有銘柄を公開することを義務付けた報告書です。ウォーレン・バフェットのような著名投資家から、世界最大級のヘッジファンドまで、彼らが提出した「宿題の答え」を見ることができます。
もちろん、ただ真似をするだけでは勝てませんが、プロが何に注目しているのかを知ることは、自分の投資の視野を広げる強力な武器になります。
持ち帰りメモ①:13Fは、巨額の資金を動かすプロの投資判断がわかる「宝の地図」のようなもの。
第2章:13Fファイリングとは?四半期に一度の「宝探し」のルール
この章のポイント
- 米国で1億ドル以上の株式を運用する機関投資家に義務付けられた報告書
- 各四半期(3, 6, 9, 12月)の末日から45日以内にSECへ提出される
- バフェットのバークシャー、レイ・ダリオのブリッジウォーターなど有名ファンドが対象
13Fファイリングは、米国の法律で定められた制度です。まずは、その基本的なルールを理解しておきましょう。

13Fで「わかること」と「わからないこと」
この報告書を見れば、プロの投資家が四半期末時点でどの米国上場株を、何株、いくら分保有しているかがわかります。しかし、万能ではありません。13Fにはいくつかの重要な限界があります。
- わかること:米国上場株式、ETF、一部オプションのロング(買い)ポジション
- わからないこと:空売り(ショート)ポジション、現金比率、債券、非上場株、米国外の株式など
また、最大の注意点は「タイムラグ」です。例えば6月30日時点のデータが公開されるのは、最大45日後の8月14日です。その間にファンドがポジションを売却している可能性も十分にあります。
13Fはリアルタイムの売買速報ではなく、あくまでプロの長期的な視点や考え方の変化を読み解くためのものと捉えるのが正しい使い方です。
どこで見られる?無料ツールを紹介
13Fの元データは、SEC(米国証券取引委員会)のウェブサイト「EDGAR」で誰でも無料で閲覧できます。しかし、原文は非常に読みにくいため、専門の金融情報サイトを利用するのが一般的です。
- WhaleWisdom: 有名投資家ごとのポートフォリオや、複数のファンドの動向をまとめて分析できる定番サイト。
- Dataroma: シンプルなインターフェースで、著名投資家のポートフォリオを分かりやすく表示。初心者にもおすすめです。
- HedgeMind: 複数のヘッジファンドが共通して保有している銘柄を探すのに便利です。
これらのツールを使えば、機関投資家がどの銘柄を買い増し、どの銘柄を売却したのかを簡単に追跡することができます。
持ち帰りメモ②:13Fは、プロの長期的な視点を知るためのもので、短期売買の動向はわからない。
第3章:【2026年Q2速報】バフェット、アックマンは何を買った?
この章のポイント
- バフェット(バークシャー):Alphabet (Google) を83%買い増し、ポートフォリオ3位の主力銘柄に
- アックマン(パーシング):Visa、Mastercardなど金融・決済サービス6銘柄を新規購入
- バーリ(サイオン):13F提出を停止。AI関連への弱気姿勢は継続している模様
2026年8月14日を期限として公開された第2四半期(6月末時点)の13Fファイリングから、特に注目すべき3人の著名投資家の動きを見ていきましょう。
ウォーレン・バフェット:AIインフラの巨人Googleへ巨額投資
「投資の神様」ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、Alphabet(GOOGL)の保有株数を前期比で83%も増加させました。これにより、Alphabetはポートフォリオの9.4%を占める第3位の主力銘柄へと浮上しています。

この動きは、バフェットが特定のAIアプリケーションではなく、検索、クラウド、広告といったAI時代の根幹をなすプラットフォームそのものに、長期的な価値を見出していることを示唆しています。依然としてトップはAppleですが、巨大テック企業への信頼は揺らいでいないようです。
ビル・アックマン:金融サービスへの大胆な資金シフト
「物言う株主」として知られるビル・アックマンのパーシング・スクエアは、ポートフォリオを大きく様変わりさせました。保有銘柄数を10から14に増やし、特に金融・決済サービスへの投資を強化しています。
具体的には、Visa (V)、Mastercard (MA)、格付け会社のS&P Global (SPGI)などをそれぞれ10億ドル規模で新規に購入。一方で、これまで主力だったChipotle Mexican Grill (CMG)などを売却しています。

この動きは、金利が高止まりする環境下でも、強力なブランド力と価格決定力で安定した収益を上げられる企業へ資金をシフトさせていると解釈できます。バフェットのAIインフラ投資とは対照的で、市場に対する見方の違いが表れています。
なお、映画『マネー・ショート』で有名になったマイケル・バーリは、2025年9月末を最後に13Fの提出を停止。運用資産額が1億ドルを下回ったためと見られますが、彼の有料ニュースレターなどからは、引き続きNVIDIAや半導体ETF(SOXX)に対するショートポジションを維持していることが示唆されています。
持ち帰りメモ③:著名投資家たちの動きから、現在の市場テーマが「AI」と「金利」であることが浮かび上がる。
第4章:ヘッジファンドの「集合知」が示す次なるトレンド
この章のポイント
- ヘッジファンドに最も多く買われているのはMicrosoft、Amazon、Alphabetなど巨大テック企業
- AI関連では、半導体メーカーからデータインフラやアプリケーション層へと物色が広がる
- 13F公開後、長期金利が急騰。AI投資の過熱がインフレ懸念を再燃させている可能性
個別の投資家の動きだけでなく、ヘッジファンド全体の「集合知」を見ることで、市場の大きな潮流を掴むことができます。
ヘッジファンド人気銘柄トップ10
金融情報会社HedgeTraceが2026年Q2の13Fを分析したところ、最も多くのヘッジファンドがポートフォリオに組み入れている上位銘柄は、依然として巨大テック企業が占めています。
- 1位:Microsoft (MSFT)
- 2位:Amazon (AMZN)
- 3位:Alphabet (GOOGL)
- 4位:Meta Platforms (META)
- 5位:NVIDIA (NVDA)
これらの企業は、AI、クラウド、デジタル広告といった現代経済の中核を担っており、多くのプロ投資家が「持たざるリスク」を意識していることがわかります。
AIブームは第二章へ。インフラ・データ関連に注目
一方で、AI関連の物色には変化の兆しが見られます。ゴールドマン・サックスが2026年10月6日に発表したレポートでは、ヘッジファンドの資金が、NVIDIAのような半導体メーカー一強から、より広い分野へと拡散していると指摘しています。
具体的には、データセンターを運営する企業や、AIを活用したソフトウェア(SaaS)を提供する企業への関心が高まっています。これは、AIブームが「誰がシャベルを売るか」という初期段階から、「そのシャベルで誰が金を掘り当てるか」という第二章に移りつつあることを示唆しています。
動画公開後に起きたこと:金利上昇と市場の警戒感
2026年Q2の13F提出期限(8月中旬)以降、市場では長期金利の上昇が顕著になりました。米10年債利回りは10月7日時点で5.277%まで上昇し、過去1年で最も高い水準にあります。

この背景には、JPMorganが2026年10月7日のレポートで指摘したように、AI関連の旺盛な設備投資がインフレ圧力となり、FRBが高金利を長期化させるのではないかという懸念があります。いわゆる「テックフレーション」です。
金利上昇は、一般的にハイテク株などのグロース株の評価を下げる要因となります。今後発表されるQ3の13Fで、プロ投資家たちがハイテク株への集中を維持するのか、それともビル・アックマンのように金利上昇に強い金融セクターなどへさらに資金を移すのかが、次の焦点となります。
持ち帰りメモ④:多くのプロが同じ方向に賭けている銘柄は、相場の大きな流れに乗っている可能性が高い。
第5章:個人投資家のための13F活用術と「3つの注意点」
この章のポイント
- 注意点①:最大45日間の「タイムラグ」があり、情報はすでに古い可能性がある
- 注意点②:なぜその銘柄を買ったのかという「理由」は書かれていない
- 注意点③:空売りや現金比率など、ポートフォリオの「全て」は見えない
13Fは強力な情報源ですが、その使い方を間違えると大きな損失につながりかねません。ここでは、個人投資家が13Fを活用する上での具体的な方法と、絶対に押さえておくべき注意点を解説します。

「答え」ではなく「ヒント」として使う
最も危険なのは、13Fの情報を見て「バフェットが買ったから自分も買う」という、思考停止の「コピペ投資」をしてしまうことです。先述の通り、13Fにはいくつかの決定的な弱点があります。
- 情報の遅れ:公開時点で、そのファンドはもう売っているかもしれない。
- 理由の欠如:なぜ買ったのか、売ったのかは自分で推測するしかない。
- 情報の不完全さ:見えているのは買いポジションだけで、空売りなどのヘッジ戦略はわからない。
これらの特性を理解せず、表面的な情報だけで動くのは非常に危険です。13Fはあくまで、銘柄探しの「きっかけ」や、自分の考えを検証するための「材料」として捉えましょう。
自分の投資アイデアの「壁打ち相手」にする
では、具体的にどう使えば良いのでしょうか。おすすめは、自分の投資アイデアの「壁打ち相手」にすることです。
例えば、あなたが「この会社は将来有望だ」と考えたとします。その時、13Fで尊敬する投資家や多くのヘッジファンドもその銘柄を保有しているかを確認します。もし買われていれば自分の分析に自信が持てますし、逆に売られていれば「何か自分に見落としがあるのではないか?」と再検討するきっかけになります。
このように、プロの投資家を「答え」そのものではなく、自分の考えを深めるための「相談相手」として活用することで、13Fはあなたの投資スキルを向上させる強力なツールに変わります。
持ち帰りメモ⑤:プロの動向を参考にしつつ、最後は自分の頭で考えて判断することが最も重要。
私たち個人投資家はどうするべきか
今日の話を踏まえて、個人投資家が明日から実践できる具体的なアクションを5つにまとめます。まずは小さな一歩から始めてみましょう。
- まずは「巨人の肩に乗る」: バフェットなど、自分の投資スタイルに近いと感じる投資家を一人見つけ、そのポートフォリオ上位5銘柄を調べてみましょう。なぜその銘柄を選んだのか、自分なりに仮説を立てることから始めるのがおすすめです。
- 情報の「鮮度」を意識する: 13Fは最大45日前の情報です。 気になる銘柄を見つけたら、必ず現在の株価を確認し、ファンドが買ったであろう時期と比べて割高でないかを確認する癖をつけましょう。
- 複数の投資家を比較分析する: 一人の投資家を妄信するのではなく、バリュー投資のバフェットと、アクティビストのビル・アックマンなど、異なるスタイルの投資家を比較することで、多角的な視点が養われます。
- 自分の投資アイデアの「答え合わせ」に使う: 自分が良いと思った銘柄を、尊敬する投資家も買っていたら自信になります。逆に売却していたら、自分の見立てに何か見落としがないか、再検討するきっかけになります。
- ETFの動きでマクロを読む: レイ・ダリオのブリッジウォーターのように、ETFを多用するファンドの動向は、マクロ経済の大きな見通しを反映していることが多いです。 特定の国やセクターのETFが買われているかを見ることで、世界経済の温度感を知るヒントになります。
本記事で紹介した銘柄は、各業種の代表例であり、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。
動画では実際のサイト画面や資料を見ながら、より詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
「ヘッジファンドがAI関連株を買い増し」というニュース1本から、「AI投資の過熱がインフレを招き、金利が上昇する」「金利上昇に強い金融株に資金が向かう」といった次の展開を予測する。この「連想ゲーム」の精度を高める上で、13Fファイリングは非常に強力な武器となります。
私が学長を務めるマネトレ大学では、金融知識ゼロだった大学生が米国大手証券会社に入社し学んだ金融知識、ルーティンワークを集約した金融特化型の教育研修を行っています。無料の勉強会「元ゴールドマン・サックス証券 尾崎邦明式 資産10倍ロードマップ」はYouTubeの各動画の概要欄からお申し込みください。日々のマーケット解説や最新情報は、無料LINEでもお届けしています。まずは無料LINEにご登録ください。
参考情報:SEC EDGAR Database, Form 13F Filings, Q2 2026 (filing deadline: Aug 14, 2026), Goldman Sachs Asset Management, “Market Pulse”, October 6, 2026, J.P. Morgan Asset Management, Market Outlook, reported by KuCoin, October 7, 2026, Seeking Alpha, “Tracking Bill Ackman’s Pershing Square 13F Portfolio – Q2 2026 Update”, August 16, 2026, Seeking Alpha, “Tracking Warren Buffett’s Berkshire Hathaway Portfolio – Q2 2026 Update”, August 14, 2026, HedgeTrace, “Most Bought Stocks by Hedge Funds — Q2 2026”, INDmoney, “What is Michael Burry’s Latest Portfolio in 2026?”, August 25, 2026, Yahoo Finance 市場データ(2026年10月8日時点)



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