「2026年後半、相場の方向感が見えにくい…」と感じる個人投資家の方も多いのではないでしょうか。そんな中、株価が過去最高値を更新した勢いに乗る「新高値ブレイク投資」が注目されています。
しかし、高値で飛び乗ってしまい、すぐ下落に巻き込まれる「高値掴み」のリスクも。本記事では、元ゴールドマン・サックス証券で機関投資家の売買を見てきたマネトレ大学学長が、この手法の勝率を格段に上げるための具体的な条件を解説します。
この記事でわかること
- 伝説の投資家オニールが提唱した「新高値ブレイク投資」の基本
- 多くの人が陥る「高値掴み」の罠とその回避策
- 勝率を飛躍的に高める「マネトレ式」3つのエントリー条件
- 「第二の太陽誘電」を効率的に見つけるためのスクリーニング方法
マネトレ大学学長の尾崎が運営するYouTubeチャンネル「おーちゃん【元外銀マン】」で解説した内容を、動画公開後の市場データや機関投資家の最新レポートまで織り込んでお届けします。
目次
結論:「ブレイクで買う」から「ブレイク後の押し目で買う」へ
| 何をするか | 何を意味するか | |
|---|---|---|
| オニール流(基本) | 年初来高値などを出来高を伴って更新したタイミングでエントリーする。 | 強いモメンタムの初動を捉える狙いだが、ダマシに遭うリスクも比較的高い。 |
| マネトレ式(応用) | ①200日線を上抜け、②ブレイク後に一度下落し、過去の抵抗帯で反発(支持帯への転換を確認)したタイミングでエントリーする。 | ブレイク後の「押し目」を狙うため、よりリスクを抑え、確度の高いエントリーが期待できる。 |
| 共通の注意点 | エントリーと同時に、想定と逆に動いた場合の損切りラインを決めておく。 | いかなる手法でも100%はない。損失を限定し、次のチャンスに資金を残すことが最も重要。 |
新高値ブレイク投資は強い上昇トレンドに乗る有効な手法ですが、成功には「200日移動平均線」「抵抗帯の転換」「出来高の急増」という3つの条件を見極めることが不可欠です。闇雲に高値を追うのではなく、ブレイクが本物である「根拠」を確認してからエントリーすることで、勝率は大きく変わります。
第1章:新高値ブレイク投資とは?伝説の投資家オニールの手法に学ぶ
この章のポイント
- 株価が過去最高値を更新した瞬間に買うシンプルな手法
- 提唱者は『成長株発掘法』で知られるウィリアム・J・オニール
- 強い上昇トレンド(モメンタム)の初動を捉えるのが狙い
なぜ新高値は「買い」のシグナルなのか
新高値ブレイク投資とは、株価が一定期間(例:52週、年初来)の最高値を更新したタイミングで買い、その後の大きな上昇トレンドに乗ることを狙う投資手法です。非常にシンプルで分かりやすいのが特徴です。
株価が過去の高値を超えるということは、その価格より上で買った投資家が誰もいない状態を意味します。つまり、利益確定売り(やれやれ売り)の圧力がなく、上値が軽くなるため、さらなる上昇が期待できるという考え方に基づいています。
この手法は、強い上昇の勢い(モメンタム)が発生した初期段階を捉えることを目的としており、モメンタム投資の一種と位置づけられます。
オニールの「CAN-SLIM」とは?
この手法を体系化したのが、伝説的な投資家であり『オニールの成長株発掘法』の著者であるウィリアム・J・オニール氏です。彼は、新高値更新を重要な買いシグナルの一つと位置づけました。
ただし、オニール氏は単に高値を更新しただけで買うことを推奨しているわけではありません。彼は「CAN-SLIM」という7つの基準を用いて、力強く成長する銘柄を見極めることの重要性を説いています。
- C: Current Quarterly Earnings(当期四半期EPSが高い伸び)
- A: Annual Earnings Growth(年間のEPSが高い伸び)
- N: New Products, New Management, New Highs(新製品、新経営陣、新高値)
- S: Supply and Demand(需給:発行済株式数が少なく、出来高が急増)
- L: Leader or Laggard(主導銘柄か、出遅れ銘柄か)
- I: Institutional Sponsorship(機関投資家による保有)
- M: Market Direction(相場の方向性)
この中の「N(New Highs)」が新高値ブレイクに該当します。重要なのは、新高値更新が、力強い業績成長というファンダメンタルズの裏付けの上で起きているかを確認することです。
持ち帰りメモ①:新高値更新は、その銘柄に対する市場の期待感の表れ。過去の売り圧力がなくなり、株価が上昇しやすくなるサインと捉える。
第2章:なぜ多くの投資家は「高値掴み」で失敗するのか?
この章のポイント
- ブレイク直後の「ダマシ」(一時的な下落)に遭いやすい
- 損切りが遅れて塩漬け株になってしまう
- どの期間の「高値」を基準にするかが曖昧になりがち
「ブレイクした!」→ すぐ下落する罠
新高値ブレイク投資はシンプルで強力な一方、多くの個人投資家が失敗する罠も潜んでいます。最も典型的なのが「ダマシ」です。
株価が過去の高値(抵抗帯)を上抜けた瞬間、多くの投資家が「乗り遅れるな!」と一斉に飛びつきます。しかし、その直後に短期的な利益確定売りや、ブレイクを仕掛けた大口の売りが出て、株価は急反落することが頻繁にあります。
この一時的な下落に耐えきれず狼狽売りしてしまったり、あるいは「すぐに戻るだろう」と楽観視して損切りできずに大きな含み損を抱えてしまうのが、高値掴みの典型的なパターンです。

エントリーより「持ち続けるメンタル」が難しい
新高値ブレイクは、エントリーのタイミングを見つけるのは比較的簡単です。しかし、本当に難しいのはその後の管理、特に「持ち続けるメンタル」です。
ブレイク後に株価が揉み合ったり、一時的に下落したりすると、「自分の判断は間違っていたのではないか」という不安に駆られます。ここで中途半端に売買を繰り返すと、手数料だけがかさみ、結局その後の大きな上昇を取り逃がすことにもなりかねません。
また、どの期間の高値を「新高値」とするか(1年なのか、3年なのか、上場来高値なのか)という明確なルールがないと、その時々の気分で判断してしまい、再現性のないトレードに陥りがちです。エントリーの簡単さに反して、利益を確定させるまでの管理が難しいのがこの手法の大きな特徴と言えるでしょう。
持ち帰りメモ②:「高値を超えたら買う」だけでは不十分。ブレイク直後の「ダマシ」を想定し、エントリーと同時に損切りラインを決めておくことが必須。
第3章:【マネトレ式】勝率を上げる3つの条件
この章のポイント
- ①長期トレンドを示す「200日移動平均線」を上抜けているか
- ②過去の抵抗帯が「支持帯」に変わったか
- ③大口投資家の参入を示す「出来高」を伴っているか
では、どうすれば「ダマシ」を避け、新高値ブレイク投資の勝率を高めることができるのでしょうか。私が機関投資家の売買を見てきた経験から導き出した、3つの条件を紹介します。重要なのは、ブレイクという「点」ではなく、トレンドという「線」で捉えることです。
条件①:長期トレンドの転換点を見極める(200日移動平均線)
まず最も重要なのが、長期的な相場の方向性です。下降トレンド中の短期的な反発で高値を追うのは非常に危険です。そこで見るべきが「200日移動平均線」です。
200日線は、過去約1年間の株価の平均値を示し、多くの機関投資家が長期トレンドの判断に使う重要な指標です。株価がこの200日線を下から上に突き抜けるのは、長期的な下落トレンドが終わり、上昇トレンドに転換した可能性を示唆する強いサインとなります。
新高値ブレイクを狙う銘柄は、必ず株価が200日移動平均線よりも上にあることが最低条件です。
条件②:売買の攻防ライン「抵抗帯の転換」を確認する
次に、ブレイクの信頼性を確認します。過去に何度も上値を抑えられてきた価格帯(抵抗帯・レジスタンスライン)を株価が上抜けた後、すぐに飛び乗ってはいけません。
本当に強いトレンドであれば、ブレイク後に一時的に下落しても、今度はかつての「抵抗帯」が「支持帯(サポートライン)」として機能し、そこで株価が下支えされます。これを「レジサポ転換」と呼びます。
この支持帯で株価が反発するのを確認してからエントリーすることで、「ダマシ」を回避し、より安全に上昇トレンドに乗ることができます。これが「ブレイク後の押し目で買う」というマネトレ式の極意です。
条件③:株価上昇のエネルギー「出来高の急増」
最後に、そのブレイクが本物かどうかをエネルギーの量で測ります。株価にとってのエネルギーが「出来高」です。
普段より明らかに多い出来高を伴って新高値を更新したり、支持帯で反発したりしている場合、それは年金基金やヘッジファンドといった大口の機関投資家が本格的に買いを入れているサインである可能性が高いです。
大きな出来高は、その後の株価上昇の持続性を裏付ける強力な証拠となります。逆に、出来高が少ないまま高値を更新した場合は、個人投資家が中心の短期的な動きである可能性があり、注意が必要です。

持ち帰りメモ③:「ブレイクで買う」のではなく「ブレイク後の押し目で買う」。200日線越え→抵抗帯のブレイク→支持帯での反発確認、という3ステップでダマシを回避する。
第4章:実践チャート解説:太陽誘電のケーススタディ
この章のポイント
- 下落トレンドから200日移動平均線への接近
- 抵抗帯をブレイク後、支持帯として機能するのを確認
- 出来高が急増し、窓を開けて上昇したポイント
動画で解説したエントリーポイント
それでは、実際のチャートを使ってマネトレ式の3条件がどのように現れるかを見てみましょう。ここでは電子部品大手の太陽誘電(6976.T)を例に解説します。※これは業種の代表例であり、個別銘柄の購入を推奨するものではありません。
図2のチャートを見ると、2025年中盤まで株価は長期的な下落トレンドにあり、200日移動平均線(オレンジ色の線)の下で推移しています。この期間は手を出さず、トレンドの転換を待ちます。

2025年後半、株価は200日線を上抜け、上昇トレンドへの転換を示唆します(条件①クリア)。その後、過去の高値であった抵抗帯をブレイクしますが、すぐに飛びつきません。
案の定、株価は一度下落し、かつての抵抗帯まで戻ってきます。そして、2025年末から2026年初頭にかけて、そのラインが支持帯として機能し、見事に反発しています(条件②クリア)。この支持帯での反発を確認したポイントが、絶好のエントリータイミングとなります。
さらにこの反発局面では、出来高も増加傾向にあり、大口投資家の買いが入っていることが推測されます(条件③クリア)。このように3つの条件が揃うのを待つことで、高値掴みのリスクを抑え、確度の高いトレードが可能になります。
動画公開後に起きたこと
動画公開後、太陽誘電の株価は一部アナリストによる目標株価の引き下げ(例:2026年11月6日、欧州系大手証券が目標株価を14,400円に引き下げ)などもあり、やや軟調な展開となっています。これは、どんなに良いエントリーポイントでも、その後のニュースや市場全体の地合いによって株価は変動することを示しています。
一方で、マクロ経済の視点では、大手機関投資家は2026年後半の株式市場に比較的強気な見方を維持しています。例えば、モルガン・スタンレーは2026年5月26日付のレポートで、AI関連投資の継続や企業収益の底堅さを理由に、S&P 500が2027年半ばには8,300ポイントに達する可能性があると予測しています。

J.P.モルガンやゴールドマン・サックスも、米国株を選好する見解を示しており、市場全体が大きく崩れるというコンセンサスにはなっていません。モメンタム株については、一部の過熱感から選別色が強まるものの、業績の裏付けがある銘柄への資金流入は続くと考えられます。
持ち帰りメモ④:理想的なエントリーポイントは、何度もチャートを見て目を慣らすことで見つけやすくなる。過去の成功パターンをたくさんインプットしよう。
第5章:「金の卵」の見つけ方と監視方法
この章のポイント
- 証券会社のスクリーニング機能を活用する
- 「チャート形状検索」で候補を絞り込む
- アラート機能でチャンスを逃さない
SBI証券・楽天証券のスクリーニング活用術
では、新高値ブレイクの候補となる「金の卵」をどうやって見つければよいのでしょうか。全銘柄のチャートを毎日チェックするのは不可能です。そこで活用したいのが、証券会社のスクリーニング(銘柄検索)機能です。
SBI証券や楽天証券などのネット証券では、詳細な条件で銘柄を絞り込むことができます。特にSBI証券の「チャート形状検索」は、「ゴールデンクロス間近」や「200日移動平均線を上抜け」といったテクニカルな条件で候補を探せるため非常に便利です。

上記のような条件で候補を数十銘柄に絞り込み、それぞれのチャートをチェックして、マネトレ式の3条件に合いそうなものを監視リストに追加します。この作業を週末などに習慣化すると良いでしょう。
なぜ中小型株の方が狙い目なのか?
新高値ブレイク投資を実践する上では、トヨタや三菱UFJフィナンシャル・グループのような大型株よりも、時価総額が比較的小さい中小型株の方が狙い目となるケースが多くあります。
理由は主に2つあります。
- 値動きの軽さ:大型株に比べて売買に必要なエネルギーが小さいため、一度トレンドが発生すると、株価が短期間で大きく上昇しやすい。
- 成長の余地:中小型株には、まだ市場に広く知られていない成長企業が多く含まれており、業績の急拡大とともに株価が数倍になるポテンシャルを秘めている。
2026年は、金利環境の変化などから大型株から中小型株へ資金がシフトするとの見方もあり(例:楽天証券トウシル 2026年1月5日記事)、新高値ブレイクのチャンスが増える可能性があります。
監視リストに入れておくべき銘柄の条件
スクリーニングで見つけた候補銘柄を監視リストに入れたら、次にやるべきことはアラートの設定です。多くの証券アプリやトレーディングツールには、株価が指定した価格に達したら通知してくれる機能があります。
例えば、「200日移動平均線を超えそう」「過去の抵抗帯に近づいてきた」といった銘柄を見つけたら、その重要な価格帯にアラートを設定しておきます。これで、毎日チャートに張り付いていなくても、エントリーチャンスを逃すことがありません。
ツールを賢く使い、自分の時間を浪費せずにチャンスを待つ。これが、忙しい個人投資家が長く投資を続けるための重要なコツです。
持ち帰りメモ⑤:毎日チャートに張り付く必要はない。スクリーニングで候補を絞り、アラート機能でチャンスを待つ仕組みを作ろう。
私たち個人投資家はどうするべきか
今日の話を実践に移すために、明日からできる5つのアクションをまとめます。いきなり全てをやる必要はありません。まずは1つでも取り入れてみてください。
- まずはチャートの形に慣れる: 証券会社のツールで過去のチャートを遡り、新高値ブレイク後に上昇した銘柄のパターンを多数見て目を養いましょう。
- 損切りラインを必ず設定する: エントリーと同時に「この価格を割ったら売る」という逆指値注文を入れておくことが、大きな損失を防ぐ鍵です。
- 監視リストを作成しアラートを設定する: 200日移動平均線を超えそうな銘柄を10〜20個リストアップし、重要な価格帯にアラートを設定してチャンスを待ちましょう。
- 中小型株を中心に探す: 2026年は中小型株への資金流入が期待されており、大型株よりも値動きが軽い中小型株は新高値ブレイク投資と相性が良い可能性があります。
- 業績の裏付けを確認する: なぜ株価が上がっているのか、CAN-SLIMで示されるような力強い業績成長があるかなど、ファンダメンタルズの確認も重要です。
どんなに優れた手法でも、100%勝てる保証はありません。だからこそ、明確なルールを持ち、それを淡々と実行することが何よりも重要になります。
もちろん過去の実績は将来のパフォーマンスを担保するものではございません。本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではなく、投資は自己責任でお願いします。
動画では実際のチャートや資料を見ながら解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
ある中小型株が新高値を更新したというニュースは、単なる個別銘柄の動きではありません。それは市場のリスクセンチメントが改善し、成長株へ資金が向かい始めたサインかもしれません。その背景には、安定した金利環境や好調な企業業績があるはずです。ここから、金利に影響を与える各国の金融政策やインフレ指標(CPI)、景況感を示すPMIなどのマクロ経済指標へと思考を繋げることで、相場全体の大きな流れを掴むことができます。
私が学長を務めるマネトレ大学では、金融知識ゼロだった大学生が米国大手証券会社に入社し学んだ金融知識、ルーティンワークを集約した金融特化型の教育研修を行っています。無料の勉強会「元ゴールドマン・サックス証券 尾崎邦明式 資産10倍ロードマップ」はYouTubeの各動画の概要欄からお申し込みください。日々のマーケット解説や最新情報は、無料LINEでもお届けしています。まずは無料LINEにご登録ください。
参考情報:ウィリアム・J・オニール『オニールの成長株発掘法 第4版』(パンローリング株式会社)、Goldman Sachs, “2026 Global Economic Outlook”, Jan 6, 2026、J.P. Morgan Asset Management, “Guide to the Markets Japan”, 3Q 2026、Morgan Stanley, “2026 Midyear Investment Outlook: Constructive, not complacent”, May 26, 2026、Business Insider, “ゴールドマン・サックス、注目銘柄が失速するなかで見出した「AI以外」の3つの投資戦略”, Jul 22, 2026、みんかぶ, “太陽誘電 (6976) のアナリスト予想”, 2026-11-06、Yahoo!ファイナンス, “【アナリスト評価】太陽誘電、レーティング強気を継続、目標株価14,400円に引下げ(欧州系大手証券)”, 2026-11-06、楽天証券 トウシル, “2026年日本株:主役は大型株から小型株へ”, 2026-01-05、株探, “IPO人気は26年も継続するか?”, 2026-02-05



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