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決算の進捗率 2026|爆上げ銘柄を見抜く「35%ルール」をマネトレ大学学長が解説

企業の決算発表シーズンは、個人投資家にとって大きなチャンスであると同時に、株価の急変に戸惑う時期でもあります。多くの投資家は売上や利益の増減といった表面的な数字に一喜一憂しがちですが、プロの投資家はより深い視点から企業の真の実力を見抜いています。

その一つが、今回解説する「進捗率」です。これは、企業が掲げた年間の業績目標に対して、四半期時点でどれだけ達成できているかを示す指標です。本記事では、元ゴールドマン・サックス証券の経歴を持つマネトレ大学学長・尾崎邦明が、この進捗率を用いて決算後の株価を先読みする分析手法を徹底解説します。

この記事でわかること

  • 決算短信で9割の投資家が見落とす「進捗率」の本当の意味
  • 1Q進捗率「35%」以上の銘柄が通期で好業績になる驚きの確率
  • 進捗率分析だけでは勝てない理由とインデックスを超えるための次の一手

マネトレ大学学長の尾崎が運営するYouTubeチャンネル「おーちゃん【元外銀マン】」で解説した内容を、動画公開後の市場データ(2026年10月下旬の米ハイテク決算や金利の動向)まで織り込んでお届けします。

結論:進捗率35%ルールは強力だが、それだけでは勝てない

何が起きたか投資家への意味
1Q進捗率35%ルール第1四半期(1Q)で通期業績予想に対する進捗率が35%を超えているかを見る分析手法。米国株で94%、日本株で84%という高い確率で、通期でも増益(会社計画を上回る)傾向がある。スタートダッシュに成功した企業は、最後まで走り切る可能性が高い。
株価への織り込み進捗率の高さは、決算発表の当日か翌日には株価に織り込まれてしまう。この情報だけで大きな利益を狙うのは難しい。インデックスに対する超過リターン(中央値)は米国で+2.4%、日本で+4.8%と限定的。
個人投資家の戦略進捗率分析を、マクロ経済の動向(金利、為替など)やセクター全体のトレンド分析と組み合わせる必要がある。「円安だから輸出企業」といったマクロの追い風が吹くセクターの中から、さらに進捗率の良い個別銘柄を選ぶことで、投資の精度を高めることができる。

第1四半期決算の進捗率が35%を超える企業は、通期でも会社計画を上回る好業績となる可能性が極めて高いことが分かりました。しかし、この強力なシグナルは市場に即座に織り込まれるため、この分析手法単体でインデックスを大幅に超えるリターンを得るのは困難です。真価を発揮するのは、マクロ経済やセクター分析と組み合わせ、投資の精度を高めるフィルターとして使うときです。

第1章:なぜ個人投資家は決算で勝てないのか?見ている場所の違い

この章のポイント

  • 多くの投資家は決算の「結果」だけを見ている
  • プロが注目するのは「目標達成へのペース」である進捗率
  • マラソンと同じで、企業の業績もスタートダッシュが重要

決算発表は「答え合わせ」ではない

決算シーズンになると、多くの個人投資家は発表された売上高や利益の数字を見て、「予想より良かったから買い」「悪かったから売り」と判断しがちです。しかし、これは過去3ヶ月間の「結果」に過ぎません。

株価は常に将来を織り込んで動きます。プロの投資家が見ているのは、その結果そのものではなく、その結果が企業の将来の業績にどう繋がるか、という点です。決算発表は過去の答え合わせの場ではなく、未来を予測するためのヒントを探す場なのです。

「進捗率」という新しい物差し

そこで重要になるのが「進捗率」という指標です。これは企業が期初に立てた通期の業績予想に対し、各四半期が終わった時点でどれだけ達成できているかを示す割合です。

これはマラソンに例えると分かりやすいでしょう。フルマラソンで好タイムを出す選手は、最初の5km、10kmの時点で、目標タイム達成のためのペースを上回って走っています。序盤で大きく出遅れた選手が、後半だけで巻き返して優勝することは稀です。

  • 企業の通期業績予想 = マラソンの目標ゴールタイム
  • 四半期決算 = 5kmごとのラップタイム計測
  • 進捗率 = 目標ペースに対して、速いか遅いか

企業も同じで、第1四半期(1Q)で力強いスタートダッシュを切った企業は、その勢いのまま通期でも目標を上回る可能性が高いと考えることができます。この「ペース」に着目することが、決算分析の第一歩となります。

持ち帰りメモ①:決算は「結果」ではなく「過程」で評価する。通期目標に対する「ペース=進捗率」という新しい物差しを持つ。

第2章:「進捗率35%」が分水嶺。好決算を9割見抜く新常識

この章のポイント

  • 単純計算の「25%」ではなく、「35%」が好業績の分かれ目
  • 1Qで35%超の企業は、米国で94%、日本で84%の確率で通期も好調
  • 「どうせ良いだろう」と読まれる保守的な企業計画の見分け方

マネトレ大学の独自分析が導き出した「35%」の壁

1年は4つの四半期で構成されるため、単純に考えれば第1四半期(1Q)終了時点での進捗率の目安は25%です。しかし、本当に注目すべき企業を見つけるには、この基準では不十分です。

マネトレ大学で過去のデータを分析したところ、驚くべき事実が判明しました。1Q終了時点で、通期業績予想に対する経常利益の進捗率が「35%」を超えた企業は、その後の通期決算でも極めて高い確率で好業績を達成していたのです。

図2:進捗率と通期増益の関係
図2:進捗率と通期増益の関係

具体的には、この「1Q進捗率35%超え」を達成した企業のうち、最終的に通期の会社計画を上回る増益を達成した割合は、米国企業で94%、日本企業でも84%に達しました。これは、スタートダッシュの勢いが、そのままゴールまで持続する傾向が非常に強いことを示しています。

季節性や特需をどう読むか

もちろん、全ての企業が年間を通じて均等に売上を上げるわけではありません。例えば、エアコンなどの空調メーカーは夏場に、玩具メーカーはクリスマス商戦のある第3〜第4四半期に業績が偏る「季節性」があります。

また、企業によっては、意図的に保守的な(達成しやすい)業績予想を出す傾向があります。これは、期末に「上方修正」というポジティブなサプライズを演出しやすいためですが、こうした企業のクセは過去数年間の決算を追うことで「どうせまた超えてくるだろう」と市場に見透かされがちです。

  • 季節性:業界特有の繁忙期・閑散期はないか?
  • 特需:オリンピックや万博など、一過性の追い風はないか?
  • 計画のクセ:毎年、保守的な計画を出して上方修正していないか?

これらの要因を考慮する必要はありますが、それでも「1Q進捗率35%」という基準は、多くの銘柄の中からスクリーニングを行う上で、非常に強力な第一フィルターとなります。

持ち帰りメモ②:保有銘柄の1Q決算が出たら、まず経常利益の進捗率を計算する。その数字が「35%」を超えているかどうかが、最初のチェックポイント。

第3章:【検証】進捗率投資はインデックスに勝てるのか?超過リターンの現実

この章のポイント

  • 良いニュースは、決算発表の当日か翌日には株価に織り込まれる
  • インデックスに対する超過リターンは米国+2.4%、日本+4.8%(中央値)
  • 勝率55%のトレードをどう評価するか。労力に見合うリターンか

発表翌日にはもう遅い?織り込みのスピード

「1Q進捗率が35%以上の銘柄は通期でも好調になる確率が8〜9割」。これほど強力な情報があれば、その銘柄を買うだけで儲かるのではないか、と考えるのが自然です。しかし、現実はそう単純ではありません。

この事実はあまりに強力なため、市場参加者の誰もが注目しています。その結果、1Qの好決算が発表された当日か、遅くとも翌日の取引開始までには、その情報はほぼ株価に織り込まれてしまいます。通期の好業績への期待が、一瞬で株価に反映されてしまうのです。

Excelを叩く労力に見合うリターンか

では、1Q決算発表の翌日に「進捗率35%超え」の銘柄を買い、通期決算まで保有した場合、市場平均(インデックス)をどれだけ上回るリターンが期待できるのでしょうか。これもマネトレ大学で検証しました。

図3:進捗率投資によるインデックス超過リターン(中央値)
図3:進捗率投資によるインデックス超過リターン(中央値)

結果は、インデックスに対する超過リターンの中央値で、米国株(S&P500比)が+2.4%、日本株(TOPIX比)が+4.8%でした。インデックスを上回る確率は約55%です。

日本株の+4.8%は決して悪くない数字ですが、決算短信を一つひとつチェックし、進捗率を計算する労力を考えると、「これだけで大勝ちできる」というほどの水準ではありません。この分析は、あくまで勝率を少し上げるための一つの武器と考えるべきです。

持ち帰りメモ③:進捗率分析は「これだけで勝てる魔法の杖」ではない。株価への織り込みは速く、超過リターンは限定的。勝率を5%上げるための「武器の一つ」と心得る。

第4章:2026年11月決算シーズン速報と機関投資家の視点

この章のポイント

  • AI投資のコスト増でハイテク大手の決算に明暗
  • J.P.モルガンは日本株の好業績を認めつつ、高値警戒感から中立姿勢
  • ゴールドマン・サックスは米国経済の底堅さを評価し、株式に強気

動画公開後の市場:AI関連決算への懸念

この記事を執筆している2026年11月1日時点、株式市場は10月下旬に本格化した米国の決算発表シーズンの結果を消化している最中です。特に、市場の牽引役だった大手ハイテク企業の決算に注目が集まりました。

売上や利益は市場予想を上回る企業が多かったものの、アルファベット(Googleの親会社)やアマゾン・ドット・コムなどで、AI(人工知能)開発のための巨額な設備投資がキャッシュフローを圧迫しているとの見方が広がりました。その結果、好決算にもかかわらず株価が大きく下落する現象が見られています。

図1:日米の株価指数の推移(直近1年)
図1:日米の株価指数の推移(直近1年)

この動きを受け、東京市場でも半導体関連株を中心に売りが広がり、日経平均株価は10月30日に大幅下落しました。市場は、AIという大きな成長ストーリーと、そのための先行投資というコストの現実との間で揺れ動いています。こういう局面でこそ、企業の足元の「稼ぐ力」を測る進捗率分析の重要性が増してきます。

大手機関投資家は今の市場をどう見ているか

世界の機関投資家は、現在の市場をどのように見ているのでしょうか。代表的な2社のレポートを見てみましょう。

図4:ドル円為替レートと米10年債利回りの推移
図4:ドル円為替レートと米10年債利回りの推移

  • J.P.モルガン(2026年10月22日付):日本企業の好調な業績を評価しつつも、株価はすでにそれを織り込んでおり、割高感があると指摘。「より良いエントリーポイントを待つ」として中立的なスタンスを維持しています。
  • ゴールドマン・サックス(2025年12月22日付 2026年見通し):世界経済、特に米国経済が予想以上に底堅く推移していることを評価。インフレが鈍化する中で企業収益は拡大が続くとして、株式市場に対して強気な見方を維持しています。

このように、プロの間でも見方は分かれています。J.P.モルガンのように高値を警戒する声がある一方で、ゴールドマン・サックスのように楽観的な見方もあります。マクロ環境が不透明な時こそ、個々の企業の業績の足腰の強さを見極める眼が重要になります。

持ち帰りメモ④:マクロ環境が不透明な時こそ、進捗率分析が光る。市場全体のムードに流されず、個社の業績というファクトに立ち返るためのツールとして活用する。

第5章:「進捗率」+αで勝率を上げる、個人投資家の次の一手

この章のポイント

  • ①マクロ分析:金利や為替の風向きを読む(森を見る)
  • ②セクター分析:追い風が吹く業界を見つける(木を見る)
  • ③個別分析:その中で進捗率の良い銘柄に絞る(葉を見る)

連想ゲームで経済ニュースを読み解く

これまで見てきたように、進捗率分析は単体で使うには限界があります。その真価は、他の分析手法と組み合わせ、投資判断のフィルターを重ねることで発揮されます。そのフレームワークが「マクロ → セクター → 個別」の3段階アプローチです。

図5:勝率を上げるための投資判断フレームワーク
図5:勝率を上げるための投資判断フレームワーク

例えば、中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇したというニュースを見たとします。ここから連想ゲームを始めます。

図6:ブレント原油価格の推移(直近1年)
図6:ブレント原油価格の推移(直近1年)

原油高はまず、ガソリン価格の上昇を通じて、航空会社や陸運会社の燃料コストを圧迫します(逆風セクター)。一方で、石油元売りや総合商社などのエネルギー関連企業にとっては追い風となります(追い風セクター)。

このように、一つのマクロニュースから影響を受ける業界を連想し、追い風が吹くセクターに狙いを定めます。そして最後に、そのセクターに属する企業の中から、1Qの進捗率が35%を超えているような、業績の裏付けがある個別銘柄に投資するのです。

あなただけの「勝ちパターン」を構築するために

この「マクロ → セクター → 個別」という思考のフレームワークは、一度身につければどんな市場環境でも応用が効きます。最初は難しく感じるかもしれませんが、日々のニュースに触れるたびに「これはどの業界に追い風だろう?」と考える癖をつけることが大切です。

これを繰り返すことで、あなただけの「勝ちパターン」が構築されていきます。それは、雰囲気や他人の意見に流されず、自分自身の論理で投資判断を下すための、何より強力な武器となるでしょう。

持ち帰りメモ⑤:「マクロ → セクター → 個別(進捗率)」の3段階で銘柄を絞り込む思考法を習慣にする。これが個人投資家の「勝ちパターン」の土台となる。

結論:進捗率35%ルールは「魔法」ではないが、強力な「武器」である

本記事で解説してきた「進捗率35%ルール」の要点を、Q&A形式でまとめます。

1Q進捗率35%ルールとは?
第1四半期(1Q)で通期業績予想に対する進捗率が35%を超えているかを見る分析手法です。
米国株で94%、日本株で84%という高い確率で、通期でも増益(会社計画を上回る)傾向があります。スタートダッシュに成功した企業は、最後まで走り切る可能性が高いことを示唆します。
株価への影響は?
進捗率の高さは、決算発表の当日か翌日には株価に織り込まれてしまいます。
この情報だけで大きな利益を狙うのは難しく、インデックスに対する超過リターン(中央値)は米国で+2.4%、日本で+4.8%と限定的です。
個人投資家はどう使うべき?
進捗率分析を、マクロ経済の動向(金利、為替など)やセクター全体のトレンド分析と組み合わせる必要があります。
「円安だから輸出企業」といったマクロの追い風が吹くセクターの中から、さらに進捗率の良い個別銘柄を選ぶことで、投資の精度を高めることができます。

私たち個人投資家はどうするべきか

今回の内容を踏まえ、明日からできる具体的なアクションプランを5つにまとめました。

  1. まず、保有銘柄の1Q決算を確認する
    証券会社のアプリやIR情報サイトで、通期業績予想に対する第1四半期の売上・利益の進捗率を計算してみましょう。
  2. 進捗率が「35%」を超えているかチェックする
    超えていれば、ひとまず順調なスタートと言えます。逆に大幅に下回る場合は、その理由(季節性、一過性の費用など)をIR資料や決算説明会資料で確認しましょう。
  3. セクター全体のトレンドと照らし合わせる
    自分の保有銘柄だけでなく、同業他社の進捗率も比較してみましょう。セクター全体が好調なのか、その銘柄だけが突出しているのかで、評価は大きく変わります。
  4. マクロの追い風が吹いているか考える
    円安、金利上昇、原油高など、現在のマクロ環境がその企業にとって追い風か向かい風かを考えます。追い風が吹くセクターで進捗率の良い銘柄は、特に有望です。
  5. 過度な期待をしない
    進捗率分析は万能ではありません。あくまで投資判断の一つのツールとして活用し、株価の短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な視点を持つことが重要です。

本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。業種の代表例として挙げた銘柄も、投資の推奨を意図したものではありません。投資の最終決定はご自身の判断と責任において行ってください。

動画で復習する

おーちゃん【元外銀マン】

私が学長を務めるマネトレ大学では、金融知識ゼロだった大学生が米国大手証券会社に入社し学んだ金融知識、ルーティンワークを集約した金融特化型の教育研修を行っています。無料の勉強会「元ゴールドマン・サックス証券 尾崎邦明式 資産10倍ロードマップ」はYouTubeの各動画の概要欄からお申し込みください。日々のマーケット解説や最新情報は、無料LINEでもお届けしています。まずは無料LINEにご登録ください。

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プロフィール

こくチーズプロフィール

・幼少期よりヨーロッパ、アジアを中心に海外を周る。


・京都大学で建築のデザインを学び、図面制作事業(現Architech株式会社)を設立。


・首席で卒業後ゴールドマンサックス証券の当時最先端であるアジア株アルゴトレーダーとして勤務。1日に数100億円もの取引をさばく。


・2020年に独立後、株、為替、不動産、太陽光、マイニング、海外信託、ヘッジファンドなど様々な投資を行いながら法人向け運用&節税、個人向け資産形成&資産運用コンサルティング業を行う。


・関西と関東で教育の先生としても活躍。


・海外の金融の世界を見てきたならではの情報と分析をたまにブログに投稿している。

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